槍ヶ岳登山②
9/4(2日目) 早朝
私達が家を出発する前日までは、登山期間中の3日間だけは晴れマークで「ピンポイントで休みが取れて良かったね」と喜んでいたのですが、山の天気は急変しました。
このまま行って山頂アタックが出来なかったら登る意味があるのだろうか・・・
ここで引き返して、また改めて登りに来る方が良いのではないか・・・
停滞している寒冷前線が足早に過ぎ去ってくれれば、最終日は天気が回復する可能性もある。
悩んだ結果、出した答えは「引き返さず登る!」でした。
今日は標高差1300メートルを一気に登らないといけない過酷な一日。
幸い雨はまだ降っていません。
5:40 槍沢ロッヂに別れを告げて(明日また戻ってくるけど・・)出発
少し登ると槍見岩に到着。
あっっ、槍ヶ岳が見えた!
後になって思えば、このときが一番テンションが上がった瞬間でした。
「えー何言ってんの~。こんな近くに槍が見えるわけないじゃん。
この岩に登って反対側を見ると遠くに見えるんだよー。
それってさー、鳩を見て雷鳥だ!って言う人と同類だよね~」
言っておくけど、私は鳩と雷鳥を間違えたりはしない。
夫に軽くバカにされながらも、めげずに進んでいきます。
霧の中、雪渓を通過。
時折ガスが取れると荒々しい岩肌が見えて緊張します。
途中で沢の水を汲んで飲んでみる。
正真正銘・北アルプスの天然水。
水ってこんなに美味しいんだ!と感動しました。
これと言って珍しい花はなかったけれど、ちらほらと咲いている高山植物に元気をもらいました。
この辺りから急勾配になってきて、空気も薄くなってくるはずですがまったく感じません。
マーキングされた岩をたどって登っていきます。
夫が「寒い、寒い」と言い出して上着を羽織りました。
私は霧がミストみたいで、ひんやりして気持ちよく感じました。
槍の穂先も何も見えないので、こうなったら視界に入った人をどんどん追い抜いていこう♪
足取りも軽いし、全然苦しくないし、ハァハァ言ってる男性陣を抜かしていくことに爽快感を覚えたり。
振り返ると霧の中に消えていく夫の姿が・・・
山荘に到着して5分。登ってこない。
10分。まだ現れない。
どうしたんだろう。高山病で倒れちゃったのかな・・・
でも次々と登ってくる人がいるから誰かに助けてもらえるはず。
それにしても遅い。
不安になっていると、現れた!
「雷鳥いたの分かった~?こんな天気だからさー、雷鳥が見れたのは神様からのプレゼントだよね~」
何ともKYな人じゃ。心配して損したよ。
私は雷鳥を見ることができませんでした。
私には神様からのプレゼントはないのでしょうか?
3080メートルに建つ「槍ヶ岳山荘」から目と鼻の先にそびえ立つ槍の穂先は、ガスが立ち込めていて影も形もありませんでした。
山頂アタックを試みようとしたのですが、鎖場や梯子があってすべると危険だからと夫に止められました。
こんなとき冷静に判断してくれる夫は本当に頼りになります。
こうなったら槍グッズでも買って気を紛らわそう♪
鈴木ともこさんと槍ヶ岳山荘のコラボTシャツはここでしか買えないぞ!
シュールな絵がたまらなく可愛い白地をゲット♪
夫氏もTシャツやら何やら色々ゲットして満足・満足。
夫が「頭が痛い」と言い出しました。
どうやら高山病を発症した様子です。
横になって休むと呼吸が浅くなりかえって酷くなるとのことで、談話室で会話を楽しむことにしました。
話をすると酸素をたくさん取り込むので良いそうです。
四角さんのサイン本を発見!
20:30 消灯
目が覚めたら22:30でした。
今日は2時間寝れた!昨日とはうって変わってイビキのない静かな山小屋。
でもゴー、ゴーと台風のような音を立てて吹いている風に怖くなって眠れなくなりました。
雨が窓を叩きつけています。
朝になってもこの状況では100パーセント下山は無理。
もう一泊するにも、さっき売店で散財してしまってお金がないのだ!
嵐の中に放り出されたらどうしよう。
マーキングを見失ってきっと遭難してしまうんだ。
ひとり妄想劇はどんどんエスカレートしていくばかり。
ギラギラと目が冴えてしまってもう眠れない
3日目につづく